さらば新十津川駅! 2020年5月6日ラストラン~鉄道が消える悲劇を繰り返すな~
JR北海道の札沼線の新十津川駅は、日本で一番最終列車が早い駅として知られています。
というのも、列車は1日1本。始発兼最終列車というわけです。
そんな新十津川駅ですが、2020年5月6日の営業をもって廃止されることが決定しています。
今回は時代の流れに抗いながらも、惜しまれつつ役目を終える終着駅のご紹介です。
- 新十津川駅がある札沼線って?
- 新十津川駅は終着駅ではなかった?
- 新十津川駅の駅舎
- 新十津川駅のホーム
- 新十津川駅のグッズはここで!
- 新十津川駅の悲劇を繰り返さないために
- 新十津川駅と札沼線廃止区間のこれから
- 追記2020.4.17
新十津川駅がある札沼線って?
札沼線は札幌の隣駅である桑園駅から新十津川駅までの76.5kmを結んでいます。
一部複線(上下の列車が走る線路が分離されている)で、一部電化(架線がある)されています。
札幌方面から北海道医療大学駅まではベッドタウンや学生街として発展していることもあり、利用状況は赤字ながら好調です。
しかし、北海道医療大学駅以北は極端に列車の本数と利用客が少ないのが現状です。
この区間についてJR北海道は「当社単独では維持することが困難な線区(について)」として鉄道の運行を廃止し、バスへの転換を決めています。廃止は2020年5月7日(6日最終運行)の予定です。
新十津川駅は終着駅ではなかった?
札沼線は札幌と石狩沼田から1文字を取って名付けられました。しかし、現在は新十津川駅までの運行です。なぜでしょうか。
これは、1972年に新十津川駅〜石狩沼田駅が廃止されたからです。
戦時中に不要不急な路線として休止され、1953年と1956年に再開された区間の一部が20年も経たずに廃止されるという寂しい結果となってしまいました。
新十津川駅の駅舎
簡素なつくりになっています。
列車が到着する前後の時間帯には地元の方によるグッズ販売があります。
所狭しとポスターが貼られ、ラストランまでの残りの日数が黒板に書かれています。
次の改札が本日最初の改札であり、本日最後の改札でもあります。
6時から23時まで欄はありますが、発車するのは10時ちょうどの1本だけです。
後ほど紹介するグッズショップです。
駅の目の前にあります。
カレンダーにはその日の降車人数が書かれています。どれだけの方が列車を使って新十津川駅を訪れたかを示しています。
廃止の報道以降、降車人数が1ケタということは滅多になくなったそうです。
しかし、廃止が決まってからはどうにもできません。普段から利用しないと、当たり前にそこにあった鉄路はなくなってしまうのです。
ちなみに列車は1両のため、数十人も乗れば混んでいるという印象を受けます。
降りた後は折り返しの列車に乗る人、タクシーを予約して近くの滝川駅に抜ける人、滝川駅までは4kmほどなので歩く人・・・と様々です。
新十津川という地名は奈良県の十津川村に由来しています。かつて災害があり、十津川村の住民が現在の新十津川付近に移住した際に付けられました。
駅のグッズ売り場は観光案内所を兼ねています。毎日毎日ラストランまでの日付が1日ずつ減っていきます。この記事が世に出るころには、もう余命2ケタばかりでしょう。
新十津川駅のホーム
砂利を敷き詰めたホームです。ワンマン運転で運転士が後方を確認できるように、ミラーが設けられています。
やけに伸びている線路が、かつてこの先に線路が続いていたことを示しています。
北海道の列車の塗装といえばこれですね。
新十津川駅のグッズはここで!
近くに「おやすみどころ寺子屋」があります。幅広いグッズは寺子屋で、鉄道に特化したグッズは駅構内で買えます。
新十津川駅の悲劇を繰り返さないために
廃線を防ぐためにはどうしたら良いのか?
答えは簡単です。
とにかく利用することです。
JR北海道は平成28年から、輸送人員2000人未満の路線について鉄道を維持するかどうかの検討をしています。
また、輸送人員が200人未満の路線は基本的に廃線の方向で地元と話し合いをしています。
輸送人員が2000人とはどの程度かご存じですか?
国鉄末期、バス転換の目安は4000人でした。国鉄末期なら廃線になっていたレベルです。
しかし現在、存廃問題に揺れている路線は本数や両数が少なく、乗車して救うということが難しくなっているのが現状です。
こう見えても私はリアリストですから、将来に渡って痛みなくJR北海道の全路線を維持することはできないと考えています。
そのため、今、鉄道を維持するかどうかの検討をしている2000人未満の路線にいかに乗るかがカギとなっています。
新千歳発着だけではなく、その他の空港発着のルートを掘り起こし、鉄道を使っていただく取り組みがJRには求められています。
もちろん、我々も指をくわえて見ているだけでは札沼線の二の舞となってしまいます。
乗り継ぎ時間が長くて無駄だから車(バス)を使う、ではなく、乗り継ぎ時間を使って観光したいから列車を使う、という意識がこれらの路線の未来を変えるかもしれません。
(追記)
読者の方からご意見をいただきました。
北海道の観光を車ありきではなく、バス輸送で支えるのが一つの方法かもしれませんね。 札幌や新千歳からレンタカーで周る方が多いですが、 特急で各地方都市まで向かい、そこから観光バスや路線バスで周るなどすれば、地方にも旅行者は増え、存続させる路線の利用者も確保し、地方のバス会社も収入が入るのかなぁと思っております。
ありがとうございます。
国鉄末期に多くの路線が廃止され、今では鉄道でたどり着けない場所が多くあります。沿岸バスなどの個性的な、風光明媚な名所を回るバス会社との提携も一つの手ですね。
新十津川駅と札沼線廃止区間のこれから
JR北海道は廃止区間の代行輸送手段についてこのように考えています。
近くに函館本線という幹線があることから、そこへのアクセス手段を構築するとしています。
追記2020.4.17
新型コロナウイルス感染拡大により、本日2020年4月17日がラストランとなりました。
ありがとう札沼線!
札沼線よ、永遠に!
これ以上の悲劇を防ぐためにも、乗って残そうローカル線!!!